新任スタッフ紹介 - 川井田 俊 博士

2018年5月9日

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自己紹介, Introduction

川井田 俊 博士, 助教
Dr. Shun KAWAIDA, Assistant Professor

 平成30年4月1日付けでエスチュアリー研究センターの助教として着任しました川井田俊と申します。私は三重大学大学院で修士課程を修了したのち、化学系製造メーカーで2年ほど研究開発職に従事しました。その後、学術研究を再度行いたいという思いから会社を退職し、東京大学大学院の博士課程に入学し、学位(農学博士)を取得しました。
 私はこれまで、陸域と水域の境界に位置する干潟や塩性湿地、マングローブ域などの汽水域をフィールドとして、そこに棲む底生無脊椎動物(ベントス)の分布や生息環境、食性を明らかにしてきました。汽水域には陸域から供給される高等植物由来の有機物が大量に集積し、土壌中の主な有機物源となっています。近年まで、この陸域由来有機物はベントスが直接利用することはほとんどなく、餌としての重要性は低いと考えられてきました。この理由の1つは陸域由来有機物の主成分が難分解性のセルロースであり、これを利用できるのはセルロース分解酵素をもつ微生物だけであるという考えが一般的であったためです。しかし、私のこれまでの研究では、汽水域のカニ類がセルロース分解酵素をもち陸域由来有機物を積極的に利用していることが明らかとなり、汽水域の物質循環においてカニ類が重要な役割を果たしていることが示唆されました。
 汽水域は多様な生物の生息場であるとともに、高い生物生産性や水産資源の供給、水質浄化など多くの生態系機能を有する重要な場所です。しかし近年、汽水域の環境は人為的な影響によって劣化の一途をたどっています。このため、汽水域の生態系の保全・修復策を考案することは喫緊の課題ですが、そのような施策の決定に必要な基礎知見は未だ十分ではありません。生物を介した陸域と水域間の物質の往来によって成り立っている汽水域の生態系を保全・修復するためには、その第一歩として、陸域–水域間がどのようなメカニズムでつながっているのかを明らかにする必要があります。私は今後汽水域において、陸域由来有機物を利用するベントスの分布や生息環境、食性、被食–捕食関係を包括的に調べることで、汽水域の生態系全体の構造を形成・維持する陸域–水域間の連関メカニズムを明らかにしたいと考えています。
 まだ至らぬ点も多々ありますが、今後多くの方々と連携・協力して研究を進めて参りたいと思っておりますので、これからどうぞよろしくお願いいたします。

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