人新世における地球上の土砂循環のレビューが出版されました

公開日 2022年06月03日

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 米国コロラド大学のJaia Syvitski名誉教授を中心として、米国、コロンビア、中国、ケニアと日本(島根大学)の共同研究として行われた研究成果が、Nature Reviews Earth & Environmentから2022年3月に出版されました。地球規模の土砂循環(堆積物サイクル)は、造山作用、物理化学的侵食作用、人間活動などの競合する要因のバランスを保ちながら、地球システムの基本的な特徴となっています。1950年から2010年の間に、人間活動は土砂の生産、輸送、堆積を変化させ、現在では地球規模でこれらのフラックスを支配するまでになっています。陸域における土砂生産を400%以上増加させ、同時に海洋に到達する量を半減させました。また同時期における人間社会におけるコンクリートなどの土砂消費量は2,500%以上増加しています。地球温暖化も地球上の土砂循環(堆積物サイクル)に大きな影響を及ぼしています。地球規模のデジタルデータセットとモデリングの進歩により、人間活動と気候温暖化の影響に関する包括的な全体像を得ることができるようになるでしょう。
 エスチュアリー研究センターの齋藤文紀教授は、主に完新世から人新世に至る河川から海洋に運搬される堆積物量とデルタにおける堆積量のレビューに大きな貢献をしています。人新世(Anthropocene)の定義は定まっていませんが、本論文では1950年以降を人新世として扱っています。

<発表雑誌>
論文タイトル:Earth’s sediment cycle during the Anthropocene
https://doi.org/10.1038/s43017-021-00253-w
Free to read: https://rdcu.be/cGBmT
著者:Jaia Syvitski,  Juan Restrepo Ángel, Yoshiki Saito, Irina Overeem, Charles J. Vörösmarty, Houjie Wang, Daniel Olago
雑誌名:Nature Reviews Earth & Environment 
巻(号)、ページ:3(3), 179-196.
出版年月日:2022年3月

 

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