2017/11/15 第127回 - 杉原 幸樹 博士
第127回の懇談会は杉原 幸樹 博士(国立研究開発法人 寒地土木研究所)の話題提供で行います。皆様お誘い合わせの上、ご参加下さいますようお願い申し上げます。
第127回汽水域懇談会
題目 : 結氷汽水湖の水質改善について
話題提供者 : 杉原 幸樹 博士(国立研究開発法人 寒地土木研究所)
日時 : 2017年11月15日(水)17:00~18:00
場所 : 島根大学 研究・学術情報機構 エスチュアリー研究センター2階セミナー室(201号室)
【発表の概要】
汽水湖は内水面漁業において重要な水域です。我が国の内水面漁獲量の約9割が汽水湖および汽水域であり、6割以上が結氷する汽水湖を漁場としています。漁獲対象は主にサケ・マス・ワカサギ・シジミなどですが、いずれも複数年の生息・成長が必要な種類です。そのため、夏期のみならず、越冬環境も重要となります。しかし冬期、特に氷の下の水質変動などはほとんどわかっていないのが現状です。また、汽水湖の水環境の保全・改善が望まれている中で、依然として貧酸素化、富栄養化、異臭味、植物やプランクトンの異常繁殖など多岐にわたる課題も残されています。
今回は北海道東部にある網走湖を対象として、結氷中の水質挙動の調査結果、網走湖の汽水環境と水質課題、課題解決に向けた試験プラントの運用状況とその効果について紹介します。網走湖は極端な密度勾配を有する水塊で、塩淡二層構造を形成しています。このため塩水の滞留傾向が強く、貧酸素化しています。塩水の貧酸素化によって毒性物質である硫化水素が高濃度に蓄積し、風等で淡水層と混合すると青潮と呼ばれる現象が発現します。青潮は発生水域周辺の酸素を低下させ、毒物に暴露されることから、水中生物の大量死が起こります。これらの対策として塩水層に酸素を供給し、無害化が可能かを確認するために現地に試験プラントを建設して経過観察を行っています。
掲示用ポスター(ズームしてご覧ください)