センター長挨拶
公開日 2017年04月01日
我が国唯一の汽水域の研究機関として1992年4月に汽水域研究センターが島根大学に設置され,25年の節目を迎えました。汽水域を取り巻く環境は,汽水域に流入する河川の流域から汽水域の周辺低地,また沿岸域を含めて複雑に連関しており,より総合的かつ学際的な取り組みが求められています。また,持続的な沿岸環境を構築するために近年は社会科学をも含めた超学際的な取り組みも検討されるようになってきています。一方,海跡湖を含めて日本における沿岸湖沼の多くは,英語名ではlagoon(ラグーン,潟)よりもestuary(エスチュアリー)に属します。狭義のエスチュアリーは,河口部の海水と淡水の混合域ですが,広義では沿岸湖沼とその周辺低地や沿岸海域を含み,ラグーンも含まれます。以上のような背景から,より広い視野から総合的に汽水・沿岸環境と生態系の研究に取り組むことを明示し,国内外での共同研究を推進するため,汽水域研究センターは平成29年度から名称を「エスチュアリー研究センター(Estuary Research Center: EsReC)」と改名することになりました。我が国唯一のエスチュアリーを冠した研究機関となります。
この改名に伴い,センターの組織も「環境変動解析部門」「流動解析部門」「水圏生態研究部門」の3部門体制としました。奇しくも汽水域研究センターの第3代,第4代,第5代センター長が,平成28年度に同時に退職され,センターの名称変更とともに,大きな節目となりました。
エスチュアリー研究センターは,旧センターが行ってきた中海・宍道湖関連の研究に加えて,国内におけるエスチュアリー研究の拠点として,またアジアにおける海岸沿岸域の研究拠点とハブとなることを目指し,新たな一歩を踏み出すことになります。新センターの活動を向上させ,皆様から頼られるセンターとなるためにも,皆様からのご意見・ご要望を頂けると幸いです。皆様のご支援とご協力をお願い申しあげます。
センター長 齋藤 文紀