メコンデルタのエスチュアリーの堆積様式が明らかに

2017年9月21日

齋藤 文紀 (エスチュアリー研究センター 教授)
香月 興太 (エスチュアリー研究センター 講師)

発表概要
 東南アジアで最も大きなメコンデルタは、カンボジアからベトナム南部に広がり、世界第3位の広大なデルタ平野を有しています。カンボジアのプノンペンでバサック河とメコン河に分流し、メコン河はベトナムで更にいくつかに分流しています。ベトナム内のこれらの分流路ほぼ全域で、地形、堆積物、生物相を調査し、コッチン分流路においては雨季と乾季において塩分と堆積相を調査した結果、ベトナムのメコンデルタの分流路の堆積相は、河川の影響が卓越する陸側と、潮汐の影響が卓越する海側に大別され,それぞれの中も更に2つに細分されることが明らかになりました.河川が卓越する地域は,自然堤防が発達し,河床水深は下流に向かって徐々に深くなり,堆積物は主に礫を含む砂からなります.一方潮汐が卓越する地域は、マングローブが発達し、河床水深は下流に向かって浅くなり、堆積物は潮汐の影響を受けて主に泥と砂の細互層からなります。海水の流入は河口から雨季で~10km、乾季で~50kmしかありませんが、潮汐は、雨季と乾季ともに河口から~100kmまで大きく影響し、希釈された海水による汽水性の生物相は河口から100kmを超えて内陸部まで分布しています。また乾季には、潮位の変化は、300km上流のプノンペンでも認められます。海の影響が及ぶ河川域は、一般にバックウオーターと呼ばれています。潮汐が卓越する大河川のバックウオーター域における詳細な堆積相が明らかになったのは世界で初めてです。
 メコンデルタは、潮汐と波浪の両方の影響を受けたデルタとして有名であり、以上のように下流部では潮汐の卓越した環境であることが明らかになりました。沿岸域では、波浪が卓越しており、雨季に供給された土砂は、乾季の波浪により、沿岸に沿って南西に運搬され、カマウ半島が形成されています。

<発表雑誌>
雑誌名,巻,ページ等:Continental Shelf Research, online,
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0278434316304514
http://dx.doi.org/10.1016/j.csr.2017.03.001
掲載日:2017年3月8日
論文タイトル:Process regime, salinity, morphological, and sedimentary trends along the fluvial to marine transition zone of the mixed-energy Mekong River delta, Vietnam
著者:Marcello Gugliotta, Yoshiki Saito, Van Lap Nguyen, Thi Kim Oanh Ta, Rei Nakashima, Toru Tamura, Katsuto Uehara, Kota Katsuki, Seiichiro Yamamoto

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