東京湾の潮差は,過去と比べて大きく減少したことが明らかになった
公開日 2019年10月15日
エスチュアリー研究センターの齋藤文紀教授は、九州大学応用力学研究所の上原克人助教との共同研究で,過去1万年間の東京湾の潮汐,潮差の変動を,数値解析と地質学的な古環境解析結果を総合して明らかにしました。その結果,約7千年前には現在と比べて70%も潮汐の及ぼす影響が平均海面に比べて大きかったこと,最大の潮汐は約9000年前であったことが示されました。9000年以降に潮汐が小さくなった原因は,9000年前から7000年前は海面上昇に伴う水深の増加によるもので,7000年前以降は湾奥からのデルタの前進に伴う湾の縮小によるもので,1930年以降も埋め立てによる湾の縮小によって小さくなっていることが示されました。
<図1>東京湾における過去9000年間の潮汐の変化(大潮の潮差の半分の分布図)-同論文より作成-
本研究成果は、2019年9月に、国際学術誌Estuarine, Coastal and Shelf Scienceに掲載されました。
<発表雑誌>
論文タイトル:Tidal amplitude decreases in response to estuarine shrinkage: Tokyo Bay during the Holocene
雑誌名,巻,論文番号:Estuarine, Coastal and Shelf Science, Elsevier,225巻,論文番号106225
著者:Katsuto Uehara, Yoshiki Saito
出版:2019年9月