東南極日印共同採泥計画を終えて(2)-香月 興太 博士-

公開日 2019年12月24日

<img title="191225-TOP.jpg" src="/_files/00185035/191225-TOP.jpg" alt="191225-TOP.jpg" />東南極日印共同採泥計画を終えて(2)

「インド・基地料理」
 
 
文責:エスチュアリー研究センター 香月興太
 
 マイトリ基地の料理はカレーです、以上。
 

 

写真4.マイトリ基地について1~2週目の食事(カレー)。司厨隊員とお手伝いの越冬隊員で調理。どれが朝食で、どれが昼食で、どれが夕食かわかりますか?

 
 これで文章を終わらせたくなるほど、朝カレー、昼カレー、夜カレー。驚かされたのは、野外調査時の野外食もカレーなことです。大きな保温容器にいれたカレーが野外でも出てきます。カレーのお供はチャパティーかパラータ(小麦粉を薄く引き伸ばして焼いたもの)、あるいは偶にドシャ(米粉を薄く伸ばして揚げたもの)が出てきます。日本のインド料理屋でよく出てくるナンは出てきません。基地での食事にはお米も良く出されますが、当然日本で一般的に食されているジャポニカ米ではなくインディカ米です。カレー自体も日本で食べるカレーとは大きく違います。マイトリ基地に行って1週間程度は「食事の辛さは大丈夫か?」とよく聞かれましたが、別段食べられないような辛さの料理はなかったです。1週間経ったころあたりに少し料理が辛くなったので、最初は我々日本人に気を使ってくれていたのではないかと思います。因みに3食カレーでもカレーに飽きたりはしません。一口にカレーといっても種類が多いからでしょうか。しかし、送別会の時に越冬隊長が挨拶の中で「我々と同じ生活同じ食事をしてくれたことに感謝する」という類のことを言っておられたことを考えると、3食カレーでも大丈夫な外国人はあるいは少ないのかもしれません。カレーは全般的においしいですが、困ったことに見た目と味が一致しないことが結構あります。「インド基地にいなかったら絶対食べてないな」と思う外見の非常においしいカレーが出てくる一方で、「たしかこれ非常においしかったカレーだな」と期待して食べると似たような見た目の全く違う味のカレーだったりすることが良くあります。
 

写真5.野外での食事風景。保温容器にいれたカレー(基本2種類)をパタータで食べる。
 
 カレーと並んで印象的なのはチャイです。インド隊のサポートを受けて野外調査をすると必ずチャイが出てきます。目的地についたらまずチャイ、調査が一段落したらチャイ、調査が終了したら基地に戻る前にチャイ。とにかくチャイなのです。チャイが出てくるときは合わせてクッキーも出てきます。寒く乾燥した南極での野外調査において、熱々のチャイは別格です。しかし、しかしです。10人の人間がひっきりなしに熱々のチャイを楽しむためには、いくつ魔法瓶が必要か想像してみて下さい。しかも彼らは保温容器にいれたカレーも食べきれないぐらいの量を運んでいるのです。食事と魔法瓶の詰まった袋の重さは30 kgを優に超えていたのではないかと思います。正直なところ調査器具一人分の割り当て重量より重いのです。我々の調査では大体一日に1万5千歩から2万歩、ガレ場か雪上あるいは氷上を歩きます。そこを運び手の一人をチャイ専用の運び手にして、その運び手は超重量のチャイを背負って歩くわけです。一体何が彼らをそこまでチャイに駆り立てるのでしょうか。
 

写真6.目的地に着いたらまずチャイを飲む。これがマイトリ式調査の基本。
 

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