タイ南部沿岸域の表層でみられるマングローブ植物由来の漂流物に附随する魚類と大型無脊椎動物
公開日 2020年05月12日
東南アジアの沿岸域ではマングローブ植物の落葉や小枝等が水面付近を漂流しているのがしばしばみられる。これらは褐藻類の流れ藻と同様、仔稚魚などが利用するマイクロハビタットとなっている可能性がある。そこでタイ南部トランの沿岸浅海域において、表層を漂流するマングローブの葉などにどのような魚類や大型無脊椎動物が附随しているのか、一年間毎月一回タモ網による採集行って調べた。調査期間を通じ、魚類35種、大型甲殻類8種、頭足類1種が採集されたが、それらの多くは身体の小さな個体であった(図1)。これらの小動物がマングローブの落葉などに附随する理由として、移動に要するエネルギー量の抑制や捕食リスクの低下、餌の捕獲効率の上昇などが考えられた。
本研究は、エスチュアリー研究センターの堀之内正博准教授と茨城大学水圏環境フィールドステーション、筑波大学下田臨海実験センター、Rajamangala University of Technology Srivijaya, Trang Campus、東京大学大学院農学生命科学研究科水域保全学研究室の研究者の方たちとの共同研究の成果です。
<発表雑誌>
論文タイトル: Fish and macroinvertebrate fauna associated with floating or drifting surface water mangrove litter in a shallow coastal area in Trang, southern Thailand
https://doi.org/10.1007/s10228-019-00695-9
著者:Masahiro Horinouchi, Kouki Kanou, Koetsu Kon, Prasert Tongnunui,Mitsuhiko Sano
雑誌名,巻,論文番号:Ichthyological Research, 67(1), 177–184
出版年月:2020年1月
出版社:Springer