汲んだ水から魚を数える-環境DNA分析による個体数の推定法を実証-

公開日 2020年07月06日

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 国立環境研究所、東北大学、島根大学、京都大学、北海道大学、神戸大学の共同研究チームが、水中に含まれる生物由来のDNA(環境DNA)の分析に基づいて対象の生物の個体数を推定する新手法を開発しました。さらに、京都府舞鶴湾全域に生息するマアジを対象に本手法を利用することで、海洋環境において環境DNAの濃度計測から生物の個体数を推定できることを初めて実証しました。目視や捕獲による調査を行うことなく、水試料の収集と分析のみによって水生生物の個体数を正確に把握できる可能性が示されたことで、海や湖などの水域生態系を定量的にモニタリングするための効率的な新技術の実現につながることが期待されます。
 本研究の成果は、令和2年7月1日付で生態学分野の学術誌「Molecular Ecology」に電子版が掲載されています。

 本研究は国立環境研究所、東北大学、京都大学、北海道大学、神戸大学の研究者らとエスチュアリー研究センターの南憲吏助教との共同研究の成果です。南助教は本研究において、環境DNAの推定値と比較するための音響計測による魚類の個体数推定を担当しました。

国立環境研究所HP(プレスリリース記事)
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20200703/20200703.html


研究が実施された京都府舞鶴湾

<発表雑誌>

論文タイトル:Estimating fish population abundance by integrating quantitative data on environmental DNA and hydrodynamic modeling
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/mec.15530
著者:Keiichi Fukaya, Hiroaki Murakami, Seokjin Yoon, Kenji Minami, Yutaka Osada, Satoshi Yamamoto, Reiji Masuda, Akihide Kasai, Kazushi Miyashita, Toshifumi Minamoto, Michio Kondoh
雑誌名:Molecular Ecology
DOI:10.1111/mec.15530

 

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