フィリピン湖沼調査報告
公開日 2023年03月22日
文責:香月
2023年2月20日から3月4日にかけて、センターの瀬戸先生と共にフィリピン・ルソン島で湖沼堆積物の調査を行ってきました。フィリピンに向かうJALの羽田発着便は深夜発早朝着なので、朝5時半にはマニラに着きました。早朝にも関わらず空港には岡山理科大学の藤木先生とフィリピン地震火山研究所(Phivolcs)のレイモンド博士が迎えに来てくださっていました。向かうはマニラ南方のサンパブロ市です。サンパブロ市にはセブンレイクと呼称される7つの火山湖沼群があり、今回の調査ではこの湖沼群の湖底堆積物を採取しました。
写真1.サンパブロ市長との面談
調査に先駆けて、サンパブロ市長と調査内容に関して会談しました。右から順に岡山理科大学の藤木先生、エスチュアリー研究センターの瀬戸先生、私、サンパブロ市長に、調査を手伝ってくださったPhivolcsの方々。左から3番目がレイモンド博士。
写真2.投げ込み式採泥器で採泥中の瀬戸先生と藤木先生
フィリピンでの湖沼調査は竹の筏で行いました。写真のように竹の本数が多い筏は安定感抜群です。筏上で使う水も竹の隙間に落ちていくので便利でした。
写真3.湖底堆積物
基本的にセブンレイクの湖底堆積物は表層付近に綺麗な縞状構造が確認されました。面白いことに、採泥した堆積物がパイプの中でぷかぷかと浮かび始める湖が多かったです。
サンパブロ市にはセブンレイク以外にも既に干上がった湖沼があり、そちらでは大阪公立大学の奥野先生とその学生が調査を行っていました。奥野先生らと合流し、サンパブロ市での調査後はマニラに戻りPhivolcsで採取した試料の分割を行ってから、今度は北へ。マニラから170kmほど車で走り、Cuyapoへ移動しました。Cuyapo東方には平野の火口湖であるパイタン湖(ペイタン湖)があり、ここでも湖底堆積物の採取を行いました。
写真4.パイタン湖の風景
パイタン湖は水草があちこちに浮かんでかたまったり流されたりして、幻想的あるいは牧歌的な光景です。ここでも調査は竹の筏で行ったのですが、竹の本数が少なく足元は御覧の通り水没していました。調査道具が池に落ちないか冷や冷やしながらの調査です。
写真5.Phivolcsの会議室にて
情報共有のために、調査が終わった後は、Phivolcsの会議室で研究報告が行われました。調査の様子はPhivolcsの方々がまとめてくれました。
今回の調査ではPhivolcsの方々が全面的に協力してくださいました。Phivolcsの方々、調査の段取りをつけてくれて経費を持ってくださった早稲田大学の山田先生、現地で我々の調査をまとめてくださった岡山理科大学の藤木先生、フィリピンに詳しく調査地のことを教えてくださった大阪公立大学の奥野先生とその学生たち、そしてお忙しいであろう中我々のために時間を割いてくださった市長や役場の方々に感謝いたします。