第155回汽水域懇談会 -仲村 康秀 博士-【07/11開催】

公開日 2022年06月17日

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 第155回の懇談会は仲村 康秀 博士(島根大学エスチュアリー研究センター 特任助教)の話題提供でハイブリット形式により行います。皆様のご参加をお待ちしております。
第155回汽水域懇談会(日程のポスター)


第155回汽水域懇談会

題目 : DNAメタバーコーディングを用いた宍道湖・中海におけるプランクトン群集の季節変化と堆積物中での保存パターン解明
話題提供者 : 仲村 康秀 博士(島根大学エスチュアリー研究センター 特任助教)
日時: 2022年 7月11日(月)16:00–17:00
場所: ハイブリッド開催(センター2階セミナー室(201号室)とZoom を併用)
           15:30からZoomを開設
事前登録をして頂いた方にZoomのURLをお送りいたします。参加希望の方は、7月7日(木)正午までに<kisui@soc.shimane-u.ac.jp>へご連絡ください。

【発表の概要】
 プランクトン群集はバイオマスが⼤きい、低次⽣産者である、環境変化へ敏感に応答する等の点で、環境指標として優れている。また、DNAメタバーコーディングは⽣物組成を迅速かつ網羅的に検出できる技術として、主に⽣物学(特にフィールド⽣態学)の分野で近年盛んに⽤いられている。また地球科学の分野でも、DNAメタバーコーディングを⽤いて堆積物コアに含まれるプランクトン群集を分析する研究が始まっている。しかし、堆積物中コアには当時⽣息していた様々な⽔⽣⽣物のうちの⼀部の種のDNAしか保存されていないため、このような分析で過去の⽣態系構造を推定する事には困難が付きまとう。このような背景を踏まえ、現⽣の⽣物学と地球科学との分野横断的な観点から、この問題の解決に取り組んだ。
 島根県の宍道湖・中海の6定点にて毎⽉の定点観測を1年間⾏い、DNAメタバーコーディングを⽤いて、プランクトンなど⽔⽣⽣物の種組成とその季節変化をモニタリングした。結果として、宍道湖・中海では10-11⽉以降にプランクトン群集の種組成が⼤きく変化する事が判明した。また、水中と直下の表層堆積物中に含まれるプランクトンの種組成が⼤きく異なる事も明らかとなった。カイアシ類・繊⽑⾍類などいくつかの分類群では、死亡・沈降した直後の段階で遺骸がすみやかに分解されてしまい、堆積物中に保存される割合が相対的に少なくなってしまう事(つまり堆積物の分析では彼らの存在量が過⼩評価されている事)が⽰唆された。今回得られたデータから、「堆積物中における各種の保存パターン」(どのような⽣物の遺骸がどのぐらいの割合で堆積物中に保存されるのか?)を明らかにする事で、堆積物コアの分析結果が補正可能となり、従来より⾼い精度で古環境・古⽣態系を復元できると考えられる。

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