エスチュアリー研究センターの仲村康秀特任助教が、日本原生生物学会の奨励賞を受賞しました

公開日 2022年09月08日

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 エスチュアリー研究センターの仲村康秀特任助教が、日本原生生物学会(原生生物の研究について日本を代表する学会)の、2022年奨励賞を受賞しました。
 受賞した発表課題は、「単細胞動物プランクトン(ファエオダリア類・放散虫類)の生態・系統分類に関するフィールド研究」です。この研究は、従来の海洋生物学研究で見過されてきた放散虫類とファエオダリア類という単細胞動物プランクトンに着目しています(図1)。放散虫類とファエオダリア類は世界中の海の沿岸から水深3000 mの深海まで幅広く分布しています。しかし、10年程前までは、この2つのグループについての生物学的な基礎情報(生態、分布および系統分類など)は非常に限られていました。仲村特任助教らの研究チームは、北半球の様々な海域で放散虫類とファエオダリア類を採集して、DNA分析や水中カメラ、化学分析などの様々な最新技術を組み合わせて、この2グループの生態、分布および系統分類などを生物学的な観点から徹底的に分析しました。その結果、ファエオダリア類や放散虫類が日本海の深海や黒潮流域で優占する事、他の海洋生物の(間接的な)餌として重要である事、また他のプランクトンと共生関係を築く事などを明らかにしました。これらの研究成果が日本原生生物学会から高く評価され、今回の受賞に繋がりました。
 近年では地球温暖化や海洋酸性化が徐々に進行して海の環境が激変しています。今回の研究のように様々な技術を組み合わせて知恵を巡らせる事で、私達の水産資源を支えている海洋生態系の構造と神秘がさらに解明され、そしてそれが人間社会と自然環境との健全な関係の構築に繋がってゆく事が期待されます。


図1 単細胞動物プランクトン(ファエオダリア類・放散虫類)

 

写真 受賞式での仲村特任助教

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