出雲平野北部から巨大噴火の痕跡が見つかりました(EsReC)

公開日 2023年04月21日

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 出雲平野北部、西林木で行われた掘削によって採取された堆積物試料から巨大噴火を示す火山灰層が見つかりました。下の写真は、西林木の地下、深度27~28mで採取されたものです。写真の右側がより深い深度になります。写真の右側は黒い堆積物が堆積していますが、左に向かうと白い層が堆積し、その後灰色の層が厚く堆積しています(図1)。この白および灰色の堆積物は火山の噴火によって噴出した火山灰が堆積したものです。

図1.西林木の地下から採取された堆積物(左側が上、右側が下)。火山灰層は約70cm弱の厚さ。

 この白い堆積物を篩で洗い、実体顕微鏡で観察すると下の写真のような火山ガラス(透明で平べったい板のようなもの:大きいもので約0.4mm)を見ることができます。


図2.火山灰の写真2枚(瀬戸先生撮影)。

 この火山灰層はこれまでの研究や位置関係から三瓶山起源のもではないかと推測できます。これまでも出雲平野の地下からは三瓶山起源の火山灰が見つかってきましたが、今回採取されたような厚い白色の火山灰層が見つかったのは初めてのことです。三瓶山はおよそ4,000年前と5,500年前に噴火しています。今回見つかった火山灰層がどちらの噴火によるものかはまだ分かりませんが、どちらの噴火であるにせよ、三瓶山の噴火はこれまで推定されてきたものより巨大な噴火だったのかもしれません。
 今回の堆積物試料は、エスチュアリー研究センターの齋藤文紀センター長を代表とする科研費基盤研究(A)課題番号21H04521によって採取されたものです。

文責 香月興太

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