第163回汽水域懇談会 -板木拓也 博⼠-【08/21開催】
公開日 2024年08月09日
第163回の懇談会は板木拓也 博⼠(産業技術総合研究所 地質調査総合センター 研究グループ⻑/エスチュアリー研究センター客員教授)の話題提供で行います。皆様のご参加をお待ちしております。
163回汽水域懇談会(日程のポスター)
第163回汽水域懇談会
題目 :世界最速!⼈⼯知能(AI)を⽤いた微化⽯の⾃動分類システム
話題提供者 : 板木拓也 博⼠(産業技術総合研究所 地質調査総合センター 研究グループ⻑/エスチュアリー研究センター客員教授)
日時:2024年 8月21日(水)15:00–16:00
場所:センター2階セミナー室(201号室)
【講演概要】
微化⽯の群集データは、過去の環境を知るために極めて有効な⼿段だが、⼈が顕微鏡を覗いて種を分類・計数(カウント)する作業は膨⼤な時間と労⼒を有する。また、信頼性の⾼いデータを取得するには、知識と経験を有した専⾨家が求められるものの、最近では⼈材の減少が懸念されている。
近年、このような作業⼯程の省⼒化と⼈材減少の懸念を解決する⼿段として期待されているのが⼈⼯知能(AI)技術である。特にAIの学習法のひとつであるディープラーニング(深層学習)は、従来の⼈が特徴量を抽出していた機械学習に⽐べると⾶躍的に⾼い分類精度を得られることが確認され、微化⽯の⾃動分類に関する実験も国内外で増えつつある。
産総研は、2018年に世界に先駆けてAIによる微化⽯⾃動分類・ピッキングシステム(図1)の実⽤化に成功した。これは、コンピュータ制御の⾃動顕微鏡で雑多な粒⼦の中から微化⽯を種レベルで識別し、それらをマイクロマニピュレータで連続的に摘出することが出来るシステムである。現在は微化⽯だけではなく様々な鉱物粒⼦やマイクロプラスチックの分離に対しても活⽤が期待されている。
更に2023年には、⼤量の微化⽯画像データを瞬時にして取得することのできるバーチャルスライドスキャナーを導⼊し、AI⾃動分類機能を実装した。スライドガラス標本の光学顕微鏡画像をデジタルデータ(バーチャルスライド)として取得し、⼀度に最⼤360枚のスライドの解析が可能である。スキャンと分類に要する時間が1スライド(15x15mm)当たり4分という極めて⾼いスループットを実現しており、現在、このシステムを使った⼤規模データアーカイブの構築を⽬指している。