第167回汽水域懇談会 -板垣ひより 博士-【10/31開催】

公開日 2025年10月07日

<img title="251007-TOP.jpg" src="/_files/00402439/251007-TOP.jpg" alt="251007-TOP.jpg" />

 

 第167回の懇談会は板垣ひより 博士(埼玉県立 川の博物館)の話題提供で行います。皆様のご参加をお待ちしております。
167回汽水域懇談会(日程のポスター)


第167回汽水域懇談会

題目 :水生真菌類と子嚢菌門ビョウタケ目Tricladiaceaeにおける分類学的研究
話題提供者 : 板垣ひより(埼玉県立 川の博物館)
日時:2025年 10月31日(水)16:00–17:00
場所:ハイブリッド開催(センター2階セミナー室(201号室)とZoom を併用)
申込み方法:アンケートシステムにご登録ください(10月29日(水)正午 締切)

【講演概要】
 
河川源流域を渓流沿いに散策していると、岩陰の澱みなど水の流れが緩慢になった場所に浮遊する、黄色~白色の泡の塊を目にすることがある。こうした光景には、下流域で見られる農業排水や生活排水による下水汚染のイメージを抱きやすいが、この水泡を一滴プレパラートに落として顕微鏡をのぞいてみてほしい。珪藻などの藻類とともに水生菌類(aquatic hyphomycetes)の不思議な分生子を見ることができるだろう。
 水生菌類は、水辺や水中の落葉や落枝などを分解して生活しており、水圏生態系における有機物の循環に重要な役割を担っている。分生子の形態は三次元的で(四射形やシグモイド形など)、渓流で生じる水泡に吸着しやすく、水中での分散に適していると考えられる。分生子の形態は水環境における収斂の結果であることが示唆され、多くの分類群で多系統性が指摘されている。しかし、不完全菌類の多くは分子情報が不足しているため、系統分類学的な所属が明らかになっていない。本講演では、プランクトンとしての側面を持つ水生菌類の生態とともに、一分類群として知られる子嚢菌門ビョウタケ目Tricladiaceaeの探索と分類学的な研究について紹介する。

戻る